レッツ!オンバウンド‼

大坂のまちからスーツケースを引きずるアジア系外国人観光客の姿が消えた…。

大坂のまちの様子が少し変わった。
道往く人たちの顔ぶれがいつもと違う。
いや、いつもと違うというよりは
以前の姿に戻ったというべきだろうか。

先般の大阪での地震災害、
そして、台風21号の襲来による被害。
立て続けに起こった天災の影響で
外国人観光客の数が相当数
減ってしまったように感じる。
日本橋界隈でも天神橋筋商店街でも
大きなスーツケースを2つも3つも
引きずり回して
集団で道幅いっぱいに並んで
大声でしゃべりながら(叫びながら)
闊歩しているアジア系観光客の姿を
ほとんど見かけなくなったのだ。

私なんかは、静かになっていい
と素直に感じてしまうのだが
商店を営む方々からすると
それはたいへんな死活問題だろう。
これが瞬間的な事態なのか
これから先も続くことなのか…。
不安で仕方がないと思う。

台風21号の影響で、滑走路に水がついた
関空が機能を停止してしまって
その結果、インバウンド減少に
つながっているのだとしたら
この事態はそう長くは続かないだろう。
でも、
「日本は自然災害の多い国」という
イメージが定着してしまうと
インバウンドには大打撃となる。
アジアの訪れたいところは
日本だけとは限らないからだ。
「日本の他にも面白いところがあるよね」
と思われてしまったらお陀仏だ。

これまで、関西はインバウンドに対して
飲まれ過ぎていたのではないだろうか。
万能の神器のように考えていなかったか。
一時だけ咲き誇るあだ花のように
今は盛りの花々も
明日には枯れて落ちるものだ。
そこまで想定して酔っているなら
まだ救いはあるように思える。しかし…。

自分の足元も見ずに、
インバウンドばかりを追うと
ちょっとした石ころにさえ足を掬われる。
そこに暮らす人々のことを
省みることもなく
来る人、まろうどたちだけに
忖度ばかりしていては
花が散った後に
新たな種をつくることはできない。
そんな危うさをいつも感じていた。

今回の天才の襲来は、
関西の人々に
ある種の啓示を与えてくれた。
あるいは警鐘を鳴らしてくれた。
私たちは、気づかなければならない。
もっと足元を見つめるべきなのだ。

そこに暮らす人を第一に考えた上で
外からやってくる人をおもてなししよう。
私が、以前から提唱している
「オンバウンド」という概念を今こそ
意識しつつ実践する時が
やって来たのではないか。
今、関西は曲がり角にさしかかっている。

(0027)

 

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