アイドルと恋愛の板挟み 001

将来の進路について悩んでいます。ずっと、アイドル歌手にあこ
がれて、歌やダンスのレッスンはもちろん、可愛くキュートなしぐ
さの研究や握手会のシミュレーション、紅白歌合戦に出場する時の
ステージ衣装も作りました。ですがそんな努力も虚しく、オーデシ
ョンはことごとく落ち、スカウトはされず、芸能プロダクションも
門前払い。こうして月日だけは無情に過ぎています。
そんな中、同じくアイドル歌手を目指している年上の男性と出会
いました。互いに励まし合い、いたわり合い、くじけそうな時も二
人で支え合ってきました。そうしている中、ほのかな恋心が芽ばえ、
それがだんだん大きく膨らんでくるのを感じる今日このごろです。
けれど、アイドルはファンのもの。特定の男性に恋することは許
されません。発覚すれば致命的なイメージダウンにつながり、彼に
も迷惑がおよびます。でもでもでも、私も一人の女の子。恋愛にだ
ってあこがれます。アイドルへの道と恋心の板挟み。私はどうすれ
ば良いのでしょう。
(女性、家事手伝い、44歳)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 最近は80年代に活躍した元アイドルたちがバラドルとして復活し
て、ブラウン管を騒がせたり(この表現もたいがいですが、といっ
てもプラズマ画面を騒がして、とか液晶画面を賑わせて、といって
も現実味ないですもんね)していますね。家事手伝いさんもライバ
ルがいっぱいでタイヘンだと思いますが、最大のライバルはなんと
いっても“自分自身”です。その点、家事手伝いさんは、よくわかっ
ていらっしゃることと察しております。なぜ、それがわかるかとい
うと、“アイドル道”なるものを極めつつあると感じるからです。

 実際にアイドルになれた人たちが、“アイドル道”を極めているか
というと、そんなことはないのです。それは、結婚を機に引退した
り、不祥事を起こして追放されたり、とそれこそ星のごとく消え去
ることがほとんどです。人生の最後までアイドルを全うした人なん
て皆無ではないでしょうか。

 その点、家事手伝いさんは、いまだに“アイドル道”のど真ん中を
元気に手を振り振り闊歩されていますよね。どんな失敗にもくじけ
ることなく、「アイドルとはなにか?」を常に自問自答しながら人
生を進んでいらっしゃいますよね。その一途さ、ピュアなマインド
には、ただただ頭が下がる重いです。あ、変換ミスでした。頭が下
がる思いです、でしたね。

 ということで、本題に入らせていただきます。恋の悩みですね。
でも、考えてみてください。アイドルはおならもしなければ、おし
っこ、うんこもしませんね。げっぷなんて問題外です。お風呂に入
らなくてもいい匂いがするし、髪の毛やツメが伸びたりもしません
し、呼吸しなくても生きていけるものですよね。そんなアイドルが
恋をするなんて考えられません。そう、恋をする相手はファンみん
なでなくてはならないのです。特定の個人に恋することはご法度。
その時点で“アイドル道”をリタイヤすることになるのです。だから、
この恋は忘れてください。酷だとは思いますが諦めてください。こ
の失恋が、きっとあなたをさらに輝かせてくれるはずですから。

 この文面だけでは家事手伝いさんが何年間、“アイドル道”を進ん
でこられたかわかりませんが、かなりの歳月をさいてこられたはず
ですよね。せっかくここまで来たのですから、とことん道を極めら
れてはいかがでしょう。人生をアイドルに賭けてみてはいかがでし
ょう。人生80年時代です。まだ40年もありますよ。まだまだアイド
ル道は極められるはずです。「私も女の子」なんて気弱なセリフは
胸にしまって、輝くアイドルをめざし続けてください。

 恋人はファンでいいじゃないですか。決して「ふつうの女の子」
なんかに戻ろうとしないでください。デビューの日を信じて、まっ
すぐ突き進んでいってください。期待しています。

「アイドルと恋愛の板挟み 001」への1件のフィードバック

WordPress コメントの投稿者 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です