基本的な社員教育

会社は、即戦力の実践の場としての機能に加え、人間をどう成長させるかという教育の場でもある。

時々、社員研修なるものを担当させていただくことがある。テーマは、たいてい『発想術』とか『編集技術』、『プロモーション戦略』となっている。どう考え、どう加工し、どう展開するか…そういった基本的なことを身につけていただこうというのが主旨の研修で、受けてくださった人たちは「頭の中がぐにゃぐにゃになった」という感想をお持ちになるようだ。

ぼくたちは、発想をするときに、そのプロセスをよく理解せずに行っている。例えば、連想ゲームを思い起こしてみてほしい。「リンゴ→みかん」と連想する人がいるかと思えば、「リンゴ→白雪姫」と思い浮かべる人もいる。あるいは、「リンゴ→コンピューター」と答えたりする人もいたりする。これを“なんとなく思いついた…”と考えていては、なかなか前には進めない。リンゴをどういう視点から捉えるか、を考えてみようというのが、ぼくの研修の中身である。

リンゴを果物という属性で捉えれば、みかんという存在が浮かんでくる。リンゴを小道具という要素で捉えるならば白雪姫が登場する。あるいは、象徴という機能で捉えたらアップルコンピューターが出てくることになる。これらの視点を後付けではなく、先に想起して連想してみよう…みたいなことを研修では行っている。

つまりは、発想のしくみを解き明かして、アイデアの幅を広げられるようにしようという、ごくごく基本を捉えた研修なのである。興味のある人がいたら、ぜひ、お声がけいただきたい。全国津々浦々、どこにでも参上させていただく。

ところで、ぼくのような社員研修をはじめとして、さまざまな研修が行われているようだが、ぼくが企業に「ぜひ、これをしてほしい」という研修がある。ま、研修というよりは、訓示のようなものなのであるが。それは、①歩きスマホは絶対にしないこと、②リュックサックを持って電車に乗る時は、必ずお腹の方でホールドする。この2点を社員に徹底してほしいのだ。

会社は、学ぶ場ではなく実践の場だ、と言われている。確かに、即戦力が求められる場である。しかし、そこは「成長の場」であるはずだ。スキルとともに人間性のアップが求められている。社員ひとり一人の成長なくして、企業の成長はありえない。スキルアップも大切だが、人間性の向上にも注意を払ってほしいものである。できれば、企業が“生涯学習”の場になってほしいと、切に願っている。

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